日本のステーブルコインに関する規制は、国内外での議論を受けて、包括的な制度整備が進められました。特に日本では、他国に先駆けてステーブルコインに関する法律が整備され、「安定的かつ効率的な資金決済制度の構築を図るための資金決済に関する法律等の一部を改正する法律」(令和4年法律第61号)が2022年に成立しました。この改正法は、2023年6月1日に施行され、国内のステーブルコイン取引に新たな規制の枠組みを設けました。(https://www.nishimura.com/sites/default/files/newsletters/file/finance_law_230807_ja.pdf)
2022年の法改正とその影響
2022年12月には、「国際的な不正資金の移動等に対処するための法改正」が施行され、ステーブルコインに関連するマネー・ローンダリング対策(AML)、テロ資金供与対策(CFT)および拡散金融対策(CPF)が強化されました。これにより、ステーブルコインが暗号資産やNFT、メタバースなどでの決済手段としての活用が進み、相互運用性が確保され、シームレスな決済が可能となることが期待されています。
ステーブルコイン市場の発展と透明性
これらの規制改正により、日本におけるステーブルコイン市場は、より透明性と安全性を持った形で発展していくことが見込まれています。ステーブルコインは、法定通貨や暗号資産に基づいた価値を持つため、従来の資金移動手段と異なる特徴を持ち、特にデジタル資産やトークンを用いた取引において重要な役割を果たすと考えられています。
規制の種類とその適用
ステーブルコインに関する規制は、主に二つのタイプに分かれます。まず、「デジタルマネー類似型」ステーブルコイン(法定通貨と連動した価格で発行され、償還されるタイプ)と、「暗号資産型」ステーブルコイン(アルゴリズム型など)があり、前者は「電子決済手段」として、後者は「暗号資産」として規制されます。
改正資金決済法における規制強化
令和4年資金決済法等改正法では、特にデジタルマネー類似型ステーブルコインの規制が強化され、その流通や移転に関わる業者規制が導入されました。これにより、ステーブルコインの発行者や取引業者に対して厳格な規制が課せられることになり、犯罪収益移転防止法(犯収法)や外国為替及び外国貿易法(外為法)による経済制裁規制にも従うことが求められています。
具体的な規制内容
具体的な規制の内容としては、資金決済法に基づき、電子決済手段を発行する業者には、取引監視や顧客確認などの義務が課され、金融機関と同様の規制を受けることになります。また、ステーブルコインの発行者は、金融商品取引法(金融商品取引法)に基づき、有価証券としての規制を受けることもあります。
セキュリティと透明性の強化
これらの規制は、ステーブルコインが市場で広く取引される中で、透明性とセキュリティを確保し、違法行為を防止することを目的としており、特にAML(マネー・ローンダリング対策)やCFT(テロ資金供与対策)を強化するための措置がとられています。
日本の競争力と市場の構築
これらの制度整備は、国内外のデジタル通貨市場における日本の競争力を高め、企業や消費者が安心して利用できるステーブルコイン市場の構築を促進するものと期待されています