ステーブルコインの種類と特徴を徹底解説!法定通貨担保型・コモディティ担保型・暗号資産担保型・アルゴリズム型の違いとは?

ステーブルコインは、価格の安定性を目的として設計された暗号資産(仮想通貨)であり、法定通貨やコモディティなどの資産と価値を連動(ペッグ)させることで、価格変動を抑制しています。これにより、ビットコインやイーサリアムなどの従来の暗号資産に比べ、決済手段や価値の保存手段としての実用性が高まっています。本記事では、ステーブルコインの定義、種類、各タイプの特徴、代表的な銘柄、そして日本国内での取り扱い状況について詳しく解説します。

ステーブルコインとは

ステーブルコインとは、価格の安定を目的として設計された暗号資産の一種です。その価値は、法定通貨やコモディティ(商品)などの価格と連動するように設計されており、1ステーブルコインが1米ドルや1グラムの金と等価になるように設定されています。これにより、価格変動が激しい従来の暗号資産とは異なり、安定した価値を持つデジタル資産として利用されています。

ステーブルコインの需要は年々高まっており、2025年2月時点では、主要なステーブルコインが暗号資産の時価総額ランキングのトップ10に入るなど、市場で大きな存在感を示しています。特に、法定通貨やコモディティと連動することで、価格の安定性を確保し、決済手段や価値の保存手段としての利用が拡大しています。

ステーブルコインの種類

ステーブルコインは、その価値を裏付ける仕組みに応じて、主に以下の4つのタイプに分類されます。

  1. 法定通貨担保型
  2. コモディティ担保型
  3. 暗号資産担保型
  4. アルゴリズム型(無担保型)

1. 法定通貨担保型

法定通貨担保型のステーブルコインは、米ドルや日本円などの法定通貨を担保として発行されます。発行体は、ユーザーから預かった法定通貨と同額のステーブルコインを発行し、ユーザーがステーブルコインを返却する際には、預かった法定通貨を返還します。この仕組みにより、1ステーブルコイン=1法定通貨の価値が維持されます。

代表的な法定通貨担保型ステーブルコイン

  • テザー(USDT):Tether Limited社が発行するステーブルコインで、複数のブロックチェーンに対応しており、海外の取引所や分散型取引所(DEX)で広く利用されています。
  • USDコイン(USDC):Circle社とCoinbase社が共同で発行するステーブルコインで、1USDC=1米ドルとして安定した価値を提供しています。
  • トゥルーUSD(TUSD):TrustToken社が発行するステーブルコインで、米ドルと1:1の比率でペッグされています。

法定通貨担保型のメリットは、価値の安定性が高く、ユーザーが安心して利用できる点です。一方で、発行体への信頼性や規制の遵守が求められるため、発行体の透明性や信頼性が重要となります。

2. コモディティ担保型

コモディティ担保型のステーブルコインは、金や原油などの現物資産(コモディティ)を担保として発行されます。これにより、ユーザーは実物資産を直接保有することなく、デジタル上で取引や保有が可能となります。

代表的なコモディティ担保型ステーブルコイン

  • Paxos Gold(PAXG):Paxos社が発行するステーブルコインで、1PAXGが1トロイオンスの金に相当します。
  • ジパングコイン(ZPG):日本の三菱UFJ信託銀行が発行するステーブルコインで、金価格に連動しています。

コモディティ担保型のメリットは、実物資産の価値に裏付けられているため、インフレヘッジや資産分散の手段として利用できる点です。しかし、コモディティ価格の変動がステーブルコインの価値に影響を与える可能性があるため、注意が必要です。

3. 暗号資産担保型

暗号資産担保型のステーブルコインは、ビットコインやイーサリアムなどの暗号資産を担保として発行されます。ユーザーは、担保となる暗号資産をスマートコントラクトに預け入れることで、ステーブルコインを発行することができます。この仕組みにより、中央集権的な管理者を必要とせず、分散型金融(DeFi)エコシステム内での利用が可能となります。

代表的な暗号資産担保型ステーブルコイン

  • ダイ(DAI):MakerDAOが発行するステーブルコインで、イーサリアムなどの暗号資産を担保に発行され、1DAI=1米ドルを目指しています
  • sUSD(synth USD):Synthetixプロトコルによって発行されるステーブルコインで、イーサリアムを担保に発行されます。

暗号資産担保型ステーブルコインのメリットは、中央集権的な管理者が不要で、ブロックチェーン上のスマートコントラクトによって運営される点です。しかし、暗号資産の価格変動が激しいため、通常は担保価値の150%以上を預ける必要があるなど、資本効率が低いというデメリットがあります。

4. アルゴリズム型(無担保型)

アルゴリズム型のステーブルコインは、法定通貨や暗号資産の担保を持たず、供給量を調整することで価格の安定を維持します。これらは、中央銀行のような役割を果たすスマートコントラクトによって管理され、価格が上昇すれば供給を増やし、価格が下落すれば供給を減らすことで、1ステーブルコイン=1米ドルを維持しようとします。

代表的なアルゴリズム型ステーブルコイン

  • FRAX:Frax Financeが発行するステーブルコインで、部分担保とアルゴリズムを組み合わせたハイブリッド型。
  • Ampleforth(AMPL):供給量を自動調整するリベース機能を持つ。

アルゴリズム型のメリットは、中央集権的な管理者や担保資産が不要で、完全に分散化された仕組みを実現できる点です。しかし、市場の変動に対して適切に機能しない場合、価格の安定を維持できなくなるリスクがあり、かつてのUST(TerraUSD)の崩壊がその例として挙げられます。

ステーブルコインの用途

ステーブルコインは、以下のような用途で活用されています。

1. 送金・決済

価格が安定しているため、国際送金や商取引の決済手段として利用されます。特に、USDTやUSDCは多くの企業や取引所で決済手段として採用されています。

2. 分散型金融(DeFi)

ステーブルコインは、DeFiエコシステム内で流動性の提供、レンディング、ステーキングなどに活用されています。DAIやUSDCは、DeFiプラットフォーム上で頻繁に利用されています。

3. 資産の安全な避難先

暗号資産市場の価格変動が激しい際に、一時的に資産をステーブルコインに変えることで、価値を保全する手段として使われます。

4. 給料支払い

一部の企業では、従業員の給与をUSDCなどのステーブルコインで支払う事例もあります。

日本におけるステーブルコインの動向

日本では、ステーブルコインの規制が厳しく、2023年の改正資金決済法によって、発行者が銀行や資金移動業者などの登録を受ける必要があります。そのため、海外のUSDTやUSDCは国内の取引所での取り扱いが制限されています。

国内発行のステーブルコイン

  • JPYC:日本円に連動するステーブルコインで、資金決済法に準拠し、プリペイド型(前払式支払手段)として発行。
  • Progmat Coin:三菱UFJ信託銀行が開発するデジタル通貨プラットフォーム。

今後、日本国内でのステーブルコインの普及には、法整備の進展が鍵となるでしょう。

まとめ

ステーブルコインは、価格の安定性を特徴とし、送金やDeFiなど様々な用途で活用されています。法定通貨担保型・コモディティ担保型・暗号資産担保型・アルゴリズム型の4種類があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

特に、USDTやUSDCは市場で広く利用されており、日本国内でも規制のもとでステーブルコインの活用が進められています。今後の規制動向や技術の発展によって、ステーブルコインの役割はさらに拡大していくでしょう。

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